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12話-2 正式な花嫁候補とご命令。

last update Huling Na-update: 2025-04-19 20:00:00

「正式な エルバートの 花嫁候補は、アマリリス嬢とする」

エルバートの 父のその言葉を聞き、頭が真っ白になった。

エルバートは冷酷な表情のまま黙ってエルバートの父をただ見つめる。

「フェリシアさん、貴女には最初から最後まで驚かされた」

「特に料理のビーフシチューは素晴らしかった」

「だが、アマリリス嬢のビーフシチューの方が優れていると判断した」

「しかしながら、努力を配慮し」

「フェリシアさんには一ヶ月間、ブラン公爵邸にいる事を許す。だが、その後、ブラン公爵邸から出て行って頂くこととする」

一ヶ月後は晩夏。つまり一番暑い時期に出て行けと言う。

死んでもかまわないといわれたようなもの。

エルバートと一ヵ月間一緒にいられるのは嬉しいけれど、

(これでは すぐに出て行けと命じられた方が余程マシだわ)

「父上! これはやはりフェリシアを追い出す為の口実を作る茶番であったか!」

エルバートは叫び、冷ややかな物凄く強い気を放つ。

しかし、エルバートの父はその気を無視して話を続ける。

「異論は一切認めん」

「一ヵ月後にブラン公爵邸にはアマリリス嬢に住んで頂く」

その言葉を聞いたエルバートは剣に手を掛ける。

いけない。魔もいないこのような場で剣を抜かせてはだめ!

「分かりました」

「一ヶ月後、ブラン公爵邸から出て行きます」

エルバートは驚いて剣から手を放す。

「フェリシア、何を」

エルバートと初めて出会った日、

尽くそうと、

勤めを全うするしかない、

どんなに嫌な顔をされようともと心を決めていたのに。

「ご主人さま、力及ばず、申し訳ありません」

フェリシアはそう言って頭を深く下げる。

すると近くの教会の鐘の音が聞こえた。

フェリシアは頭を上げ、一人、 広間から駆け出て行く。

悲しいはずなのに涙も出ず、心の痛みも感じない。

自分

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